妊活、養子、里親、2人がたどり着いたのは「チームで子育て」というかたち

生後9ヶ月の男の子を迎え入れ、養育里親になった二河田さんご夫婦。いつかくるその日のために、実親さんにも子どもの成長を知っていて欲しいというお2人の気持ちが、なんとも力強く、あたたかく、少しだけ切なく心に響きました。
いつかは送り出すとわかっていも、受け入れは瞬時に決めた
Q 養育里親をすることになったのはどのような経緯ですか?
年齢的に不妊治療のリミットが近づいてくる頃、里親についての情報を得られるようにチャンネルを広げ始めました。最初は、特別養子縁組を考えていましたが、それは狭き門であることを知りました。結婚したからには2人で子育てがしたいという気持ちで妊活を始めたので、子どもの成長を見守ることができるなら戸籍にこだわらなくてもいいねと、養育里親にも登録しました。
ー受け入れは、子どもが何歳の時に始まったのですか?ー
9ヶ月の時でした。一番最初に会ったのは生後6ヶ月。連絡がきて会いに行き、「めっちゃ可愛い!受け入れたい!」とほぼ即決でした。それからマッチングが始まり、乳児院で半日一緒に過ごし、1日過ごし、お試しの外泊などを経て、約3ヶ月後に正式に預かることになりました。
ー養育里親である以上いつかは子どもと離れるタイミングがくると思うのですが、そのあたりの気持ちはどうですか?ー

児童相談所の方から「最終的に、実親さんは引き取りを希望されています。」と説明を受けているので、迎え入れることを決めた段階である程度覚悟はできています。
とはいえ、いなくなることを考えると寂しいですよ。その日がきたらどういう感じで送り出すんでしょうね。
「子どもを奪われる」と思わせてしまうことが怖い
ー実親(子どもの生みの親)さんとのつながりはありますか?ー
この子と実親さんと児童相談所の方で、月に1回面会の時間があります。実親さんと私たちが、直接顔を合わせたり話をしたりといったことはありません。面会の時も、児童相談所の方に子どもを預け、実親さんが帰られた後に子どもを迎えに行くという感じです。
ー真実告知(里親として預かっていることを子ども本人に伝えること)はどのように考えていますか?ー
真実告知の1つの基準年齢が3歳ぐらいと聞いています。その頃まで今のような面会が続いていれば、「あの人は誰?」「どうして毎月行くの?」と聞かれるときが告知のタイミングだと思っています。実親さんとの面会が途切れている状態だったら、どういうふうに伝えるか考えなければならないですけど、どうなるかはその場面がきてからでないとわからないですね。
最終的に引き取りを希望しているとわかっている以上、実親さんが安心してその日を迎えられるよう、私たちにできることはしたいと思っています。「子どもを奪われる」と思わせてしまうことが1番怖いですね。
子どもの日常と成長を、チームで分かち合う
ー実親さんとの関係を保つために「できること」とは、例えばどんなことですか?ー
今の状況での話になりますが、実親さんのタイミングに合わせて定期的に面会を設定し、決して「私たちの都合で面会を断らない」のがまずあります。もう1つは、「この子の情報を実親さんにしっかり伝えること」ですね。こんなことに興味があるとか、こういうところに遊びに行ったとか、この子の日常や成長を自分たちだけのものにしないことを大切にしています。
実親さんが「子どもを奪われるかも」と不安になるのも理解できます。委託率(里親さん家庭に、児童養護施設の子どもが迎え入れられる率)が上がらないのも、やはりそこだと思うんです。
私たちは最終的にあなたにこの子を返すつもりで預かっている、だから、この子の成長を一緒に知っておいて欲しいという思いをどうにか伝えられたら、「奪われる」という不安はある程度防げるんじゃないかなと感じています。ただ、私たちは実親さんと直接やり取りができないので、間に入ってくださる方々にお願いすることにはなりますけどね。
ー実親さんと今のような関係については、養育里親になる前から考えていたのですか?ー
初めから思っていたわけではありません。里親のことを知り、登録し、マッチングをして受け入れることになり、その都度考えてきました。今は児童相談所や里親支援センターの方が家庭訪問に来てくれていて、いろんな話をしている中で徐々にこういう気持ちになってきたんです。
昔、里親のことをテーマにしたドラマを見た時に、実親と里親が「僕たちはチームですね」というようなシーンがあって、その言葉がとても腑に落ちています。この子を中心に、この子に関わる人みんながチームの一員。今はそんなふうに思っています。
ー子どもにはどんなふうに育って欲しいですか?ー
何より元気に育って欲しいです。大きくなって自分の状況をわかった時に、実親さんのことも理解できる優しい子に育って欲しいなと思っています。