16年の時を経て、ゆるやかにつながる「後輩のような存在」に

石田さんご夫婦は、5人の子育てをしている中で、里子として兼子真(かねこまこと)くんを迎えました。
3歳で石田家にやってきた真くんは、今年で19歳。
実子、里子の隔たりなく、子ども達の力を信じて見守るご夫婦の姿が印象に残っています。
里親=養子ではなく、うちは小さな児童養護施設
ー里親になることを、家族内ではどのように受け止められましたか?ー
家内から「里親の話を聞いたんだけど、どぉ?」と持ちかけられました。
私の家は、代々天理教の分教会を運営しています。共働きの信者さんの子どもを数年預かったり、生活に困っている人がうちにやってきたり、子どもの頃から家族以外の人が家に居ることに違和感なく育ってきました。家内も同じような環境で育っています。実子で女の子5人を育てていたので、1〜2人増えても変わらないという感覚でした。
当時、長女は高校生になるタイミングで、ある程度のことは図書館で調べたようです。「まぁいいんじゃない?」みたいな感じでしたね。

ー受け入れが始まった時、地域の人々の反応はどうでしたか?ー
地区の総会で「里親に登録して、子どもを預かることになりました。まだ幼いので、どこから来たの?とか、そういうことは聞かんといたってください。」とお願いしました。
なかには「女の子ばっかりやから養子もろてんね。」と言う人もいました。「数年後には自分の家に帰るかもしれない子どもです。簡単に言うと、うちは小さな児童養護施設。だから養子ではないんですよ。 苗字も違うでしょ?」と説明していました。
里親=養子にする、そういう感覚の人が多いのかもしれません。
信じて寄り添う、子ども達とのゆるやかな関係
ー子育てで大切にしていることはありますか?ー
15歳までが土台づくりで、「これすると困るよ」「こうした方が喜んでもらえるよ」というのを伝えることが私たちの役目。そこからは私たちの手を離れて、子ども達自身が身を置く環境の中で、いろんな人と関わりながら自分を形づくっていくと思うんです。もちろん困ったことがあればいつでもサポートはします。このスタンスは、娘達に対しても、真に対しても同じです。
ー石田さんと真くん、お互いにどのような存在ですか?ー
真は、私のことをお父さん、家内のことはお母さんと呼びます。真の実の母親は京都にいます。中学生の頃から年に1度のペースで会っていて、彼女のことは「京都のお母さん」と呼んでいます。
私にとって真は、そうですね、子どもというより後輩って感覚かな。今、真は天理高校の定時制に通いながら造園の仕事をしています。その後は帰って来るような話をしてるので、真が結婚するまではここで暮らしながら、一緒に仕事をすることになるでしょうね。社会人として新しいステージに立つ真を、人生の先輩としてこれからも見守っていきたいと思っています。

